「あの……これ、どちらで買われたのですか? 取り扱っている商会を教えてくださいませんか?」

 ざっと記憶を手繰っても見覚えもなく使った覚えもないのでうちの商会ではなく、どこか別のところなのでしょう。一体、どこなんでしょう?

「それでは作って下さったご本人がいらっしゃっておりますから、話をお聞きになられたらよろしいかと思いますよ。ですが、その前に診察を受けてからにしましょう」

「えっ、ご本人が? 会いたいです。えっ……診察ですか?」

 ご本人と診察。同時に言われたら困ってしまいます。えっと、どうしたらいいんでしょう。できれば診察よりお会いしたいんですけども。

「はい。怪我の様子を診てもらうようにと、レイニー殿下からのお言葉でしたので女性のお医者様をお呼びしております」

「どこも痛いところはないので、大丈夫かと思いますが」

「それでも、念のために診察をお受けください。それと実はお呼びしたお医者様が室内履きを作った方なのですよ」

「まあ。そうなのですか?」

 まさか、お医者様だったとは思いませんでした。ここで渋っている場合ではありませんわね。レイ様も私のことを心配してのことでしょうから、無下にもできませんし。心は決まりました。同じ方であれば、診察をちゃっちゃっと済ませて頂いてあとはゆっくりとお話を伺いましょう。

「わかりました。それでは行きましょう」
 
 我ながら現金ですけれど、善は急げです。