本日は王妃陛下主催のローズガーデンパーティーに出席しております。
 今回は急遽行われることになったのか、招待状が届いたのは二週間前でした。準備にあたふたしましたがどうにか間に合いました。

 会場は国内外から取り寄せられた薔薇が寵を競うように咲き誇っており、白いテーブルとイスが設置されていてビュッフェ形式になっているようです。
 飲み物や料理が並べられているところでは給仕役のバーテンダーやメイドたちがせわしく動き回っています。
 王妃陛下のお名前ローズにちなんで、テーブルや椅子、カトラリーやグラスや食器にも薔薇の意匠があしらわれていて、薔薇づくしの世界で目を楽しませてくれます。

 私はウエルカムドリンクを片手に、次から次へと現れる令嬢たちや令息たちと挨拶を交わします。
 やっと人が途切れたと一息ついていると、

「フローラ。こんにちは、挨拶はすんだようね」 

 ハイスター公爵様にエスコートされたディアナが待ちかねたように声をかけてくれました。

「こんにちは、ディアナ。ハイスター公爵様、お久しぶりでございます」

 カーテシーをして挨拶を致します。

「こんにちは。フローラ嬢。元気だったかな」

 プラチナブロンドの髪にシルバーの瞳。麗しいという言葉がぴったりな美しい男性です。
 ディアナの婚約者様なので、私にも気軽にお声がけしてくださいます。