婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「ローラ?」

 名前を呼ばれてハッと我に返りました。
 レイ様は魔法でも使っているのではないかしら? 時々時間が止まってしまいますもの。
 それよりも、レイ様はなんと言ったかしら? 確か、つきあうかって聞かれたのよね?

「はい。よろしいですけれど、今度は何におつきあいをすればいいのでしょう?」

 これまでもいろいろとご一緒しているので、ここで一つくらい増えたとしてもそれほど支障はないでしょう。

 無茶なこともおっしゃらないでしょうし、たぶん。
 けれど、少しだけ覚悟してレイ様の言葉を待ちました。

 レイ様は大きく目を見開いたかと思ったら、天を仰いで息を吐きました。

 空は澄み渡っていてとてもきれいな青空が広がっていました。たなびくような細い白い雲が流れて行きます。
 なんて、晴れ晴れとした清々しい景色でしょう。

 空を眺めていたのはどれくらいでしょうか。
 なんとも言えない沈黙の後、レイ様が口を開きました。

「うん。まさかの、予想通りの答えをありがとう」

 レイ様の笑顔が引きつっているように見えるのは気のせいかしら?
 予想通りということは、間違いではなかったってことですよね。