私は握られている手の反対側の手を頬に当てました。心なしか少し熱いような……
 ドキドキしすぎて顔が火照ってしまったのでしょうか。

 恥ずかしいわ。

「本当に大丈夫?」

「はい」

 レイ様が心配そうに首をかしげてさらに覗き込んできます。
 気遣うように見つめる瞳に、きゅうと胸が締め付けられたような切ない思いが心の中によぎりました。

 慣れない感覚に言葉を失っていると急にフワッと体が浮いて、レイ様の腕の中におさまっていました。

「あの……レイ様? 私は大丈夫ですよ。なんともありません」

 私が黙っているものだから、具合が悪いと勘違いさせてしまったのかしら?
 それは申し訳ないわ。すぐに下ろしてもらわなければ。

「レイ様、すみません。私は元気ですから、一人で歩けますよ」

「ダーメ。怪我でもさせたら大変だからね」

 怪我って、そんな大袈裟な……

「過保護過ぎますよ。目の離せない小さな子供でもないのですから、甘やかさないでくださいませ」

「甘やかしてないし、普通の行動だよ」

 普通って、お姫様抱っこがですか?
 
 訝し気に見てみれば自信満々に満面の笑み。