「フローラったら、謝らないの。それにしても、調子に乗ってぺらぺらと悪口を言ってたわね。悪意を並べ立てて人を堕とすなんて、よっぽど性根が腐っているのね。わたしのことも馬鹿にしてたしね。伯爵令嬢風情って、耳を疑ったわ。わたしのことを知らない人がいるなんて、そう思わない? フローラ」

 私はこくこくと頷きました。さっきとは違う震えが全身を襲います。

 ディアナ、怖いです。
 瞳がメラメラと燃えています。背後に真っ黒な炎が立ちのぼっているように見えるのは、もしかしたら、錯覚ではないのかもしれません。