「あの……もしかして、推薦したのはディアナなの?」

「そうよ」

 当たり前じゃないのって言わんばかりの表情で即答したディアナ。

 やっぱり……
 考えてみれば、出所は一つしかないですものね。

「アンジェラが、サンフレア語の教師がなかなか見つからないって悩んでいたから、相談に乗ったのよ。いろいろ手を尽くしたけれど、どの先生も枠が埋まっていて空きがなかったようなの」

「王家には専属の教師はいないの?」

「他の科目の教師はいるけれど、サンフレア語はね。数が限られているから王族といえども確保は難しいのよ」

「そうなのね」

 サンフレア語は難しいから、教師の数も少ないって聞いてはいたけれど。
 王族にも手が回らないほど厳しいのね。

「語学は小さいうちから学んでいた方が身に付きやすいでしょう? アンジェラもいろいろ当たって教師を探しているようだし。フローラも忙しくて大変だろうけれど、できる範囲でいいから協力してくれたら有難いわ」

「そうね。教師が見つからないのは大変ですものね。どこまでできるかわからないけれど、頑張ってみるわ」

 リッキー様に教えるのは楽しかったし、今度は何を題材にしようかしら?
 絵本とかもいいかもしれないわ。まずは言葉に慣れることが大事ですものね。
 リッキー様の好みも聞いてみましょう。

 来週の授業のことをあれこれと考えているうちに、ビビアン様のことはすっかり忘れていました。