「ネイティブ並みに発音も完璧なのね。すごいわ」

 アンジェラ様は感嘆の息を漏らすと私をご自分の私室へと案内してくださいました。

 青磁の花瓶に生けてある大振りの牡丹の花々が目を引きます。

 薄いクリーム色の壁紙は光沢があるので、シルクが織り交ぜられているのでしょう。焦げ茶色の家具はこの国ではあまり見かけない異国風なデザインのようで、とても素敵です。

 レイ様のお部屋はモノトーンが基調でシンプルなのですよね。無駄なものは置かない主義なのか、用の美がお好みなのか使いやすく必要なもので構成されているように感じました。

 最近は花が飾ってあって殺風景な部屋に彩りが加えられていますけれど。そういえば絵画も飾ってありましたね。

 初めて入室した時よりも華やかになっているような気がします。

 レイ様のことが頭の中を掠めながら、珍しい設えの室内を見渡して目をキラキラさせていると、椅子に座るように促されました。