それもそうよね。三年間の留学が一年半ほどで帰国するように言われたら腹も立つでしょう。

 成績も上位で先生たちからも期待されていると聞いていたから、主人もわたくしも楽しみにしていた。
 でも、帰国してからは落ち着いていて、スムーズに学園の特別クラスに編入出来たから、安心していた。

「そう、よかったわ。ごめんなさいね。こちらの都合で留学をやめさせてしまって」

「いや。それはもういいよ。こっちはこっちで、それなりに楽しいしね」

 スティールが軽く微笑む。物足りなさを含んだ少し諦めに似た表情に見えるのは気のせい?

「そうなのね。それを聞いて安心したわ。ところで、フローラさんには会ったかしら?」

 背筋を伸ばして改まった態度でスティールを見つめた。

 わたくしが一番聞きたかったこと。

 わたくしの気持ちを察したのか、スティールがすっと真顔になって、わたくしを真正面から見据えていた。