父親譲りの栗色の髪に青い瞳。波打つ前髪に隠れるように黒縁の眼鏡。目立たない容貌が実直さを物語っているよう。

 エドガーの派手な容姿とは正反対だけれど、シャロンはスティールの誠実な人柄と頭の良さを気に入ってくれたのよね。
 
 わたくしは当主はエドガーに主な事業はスティールにと思っていたから、シャロンの意見に賛成した。結果はお互いの当主に大反対されて実現しなかったけれど。
 今思えばわたくしたちの意見の方が正解だったわよね。男どもの見る目のなさにはがっかりだわ。

「スティール。学園はどうかしら? もう慣れた?」

 留学から急遽呼び寄せて、自国の学園に通うようになってから一か月。
 ゆっくりと話を聞く間もなかったからこの機に聞いてみた。
 
「そうだね。だいぶ慣れたよ。あちらほど授業が詰まってないから、その分楽かな」

 スティールの表情が少し和らいで見えた。

 事情は説明したものの、留学を中断して帰国することにはかなり抵抗があったようで、随分と反対されたから。