エドガーには買い物はしばらく控えるように言ったから、大丈夫だとは思うけれど。お金は無限に生み出されるわけではないのだから、結婚もしないうちからこれでは先が思いやられる。

 エドガーの卒業と同時に次期当主としての地位はスティールへ譲り渡すことは決めているけれど、果たして納得してくれるかどうか……
 学園での成績も最下位に近いし、そのことについても注意したけれど、真面目にとらえてくれたかどうかも怪しい。

 温情をかけてもらっていることに気づいてくれればいいのだけど。
 まったく、困ったものだわ。


 コンコン。

「スティールですが、母上、お呼びだと伺いましたが、入ってもよろしいですか?」

「ええ。入ってちょうだい」

 エドガーとのやり取りを思い出して、あれこれと思い悩んでいるとスティールが部屋へと入ってきた。
 スティールと話したいこともあって、呼んでおいたのだ。

「失礼します」

 相変わらず畏まった様子で促されたソファへと座ったスティール。