今日はとても良いお天気で日差しも暖かいので、庭園のテーブルでディアナと一緒に昼食を取っていました。

「気持ちがよいわね。ここに来て正解だったわ」

 ディアナの深紅の髪が風に靡いて揺れています。瑠璃色の瞳と人形のように整った美しい顔立ちに見惚れてしまいます。いつも堂々と自信に満ち溢れていて、まるで大輪の薔薇のような艶やかさ。私の憧れなのです。

「そうね。静かでとても落ち着くし」

 教室かカフェテリアで昼食をとるのが普通なので庭園はあまり人はいませんから、たまには人目のないところで昼食をとるのもいいのかもしれません。

 あれから一週間経ちましたが、学園内は混乱もなく変化もなく何事もなかったかのように平穏な日常が続いています。婚約破棄された令嬢として奇異な目で見られるかもと心配してましたがそんなことはなく、励ましの言葉や同情的な言葉などを含めて、いろんな方から声をかけていただくようになりました。

 せめてクラスメートの皆さんには、ダンスパーティーを台無しにしてしまったことを謝ろうとしましたが、ディアナに止められてしまいました。
『悪いのはあいつらであって、フローラではないわ。その証拠に停学処分を受けたのはあいつらだけでしょう? だから謝る必要なし』と庇ってくれました。