私の呼びかけにエルザがそばまで来てくれました。

「フローラ様」

 キャメルの髪に鶯色の瞳。少しふくよかな体。そして何よりエルザの温かいまなざしは私をほっとさせます。

「エルザ。侍女の立場からどうでしょうか? 王子殿下という高貴なお方である以上、礼節を重んじ女性に対しても適度な距離を保ち接することが大事だと思いますが、どうですか?」

 レイ様の腕の中で答えを期待して聞いてみました。

「そうですねえ」

 すぐに答えが出ないのか、エルザは頬に手を当てながら考えています。

「フローラ様」

 やっと結論が出たのかと、きっと私の味方をしてくれるとやっとレイ様の膝の上から逃れられると、ワクワクしながら待ちました。