「うん。わがまま、許してね」

 レイ様は嬉しそうに笑顔を向けました。

 ちょっと、悔しいです。

 でも、でも。
 周りにいるのはセバスだけではありません。


「ダン。あなたはどうですか? 王子殿下の行動は護衛騎士から見て紳士的な態度ではないと思うのですが」

 騎士団は硬派な方々が多いと聞きます。

 女性に対して礼儀正しいふるまいをモットーとされているかと思いますし、人前で抱っこしたり抱きしめたりなさらないと思います。


「そうですね。公の場であれば分別も必要かとは思いますが、ここはプライベートの場ですので殿下のふるまいも咎められるものではないかと存じます」


 黄色ががったオレンジの短髪と紫紺の瞳。

 一見冷ややかに見える精悍な顔立ちにわずかに笑みを浮かべたダンは、膝を折って頭を下げました。