「いや、テンネル家を継ぐのは弟君だそうだ。エドガーは学園を卒業してから領内の辺境の地へおくって、そこで一から働いてもらうと、それでよければ結婚を許すとのことだった」
「なるほど、あちらも馬鹿ではなかったということですね」
「まあ、そういうことだな」
「で、なんと返事をしたんですか?」
「それでよいと了承した。本人も結婚したがっていたからな。願いを叶えてやったまでだ。そのあとは知らんがね。本人は真相を知らず、侯爵夫人になる気満々のようだ」
俺はソファの背に凭れて天井を仰ぎ見ると一息ついた。
「お前は侯爵夫人になれないんだぞと本人に言わなくていいんですか?」
「エドガーの働き次第とも言っていたからな。真面目に働けば、次期当主に返り咲くこともあり得るかもとは侯爵殿はいっておったが、さて、どうなることやら」
「含みを持たせてるんですか? はあ? 息子可愛さなんでしょうが、甘いですね」
呆れる。どんだけ甘々なんだか。
俺が当主だったら、とっくに親子の縁を切って市井に放り出しているところだ。
「リップサービスもあるかもしれんな。男爵家とはいえ、そこそこ成功している我が家からクレームをつけられたくなかったんだろう」
「なるほど、うちとも取引がありますからね」
テンネル家とは懇意とまではいかないが商売上の付き合いはあった。
「なるほど、あちらも馬鹿ではなかったということですね」
「まあ、そういうことだな」
「で、なんと返事をしたんですか?」
「それでよいと了承した。本人も結婚したがっていたからな。願いを叶えてやったまでだ。そのあとは知らんがね。本人は真相を知らず、侯爵夫人になる気満々のようだ」
俺はソファの背に凭れて天井を仰ぎ見ると一息ついた。
「お前は侯爵夫人になれないんだぞと本人に言わなくていいんですか?」
「エドガーの働き次第とも言っていたからな。真面目に働けば、次期当主に返り咲くこともあり得るかもとは侯爵殿はいっておったが、さて、どうなることやら」
「含みを持たせてるんですか? はあ? 息子可愛さなんでしょうが、甘いですね」
呆れる。どんだけ甘々なんだか。
俺が当主だったら、とっくに親子の縁を切って市井に放り出しているところだ。
「リップサービスもあるかもしれんな。男爵家とはいえ、そこそこ成功している我が家からクレームをつけられたくなかったんだろう」
「なるほど、うちとも取引がありますからね」
テンネル家とは懇意とまではいかないが商売上の付き合いはあった。



