「あの娘はまったく厄介なことをしでかしてくれたもんだ」
それはそうだろう。
テンネル侯爵家の嫡男がブルーバーグ侯爵家の令嬢と婚約を破棄して、うちのリリアと婚約したと手紙をもらった時は隣のクーリエ国にいた頃だった。
寝耳に水。
信じられなくて何度手紙を読み返したことか。父に手紙を書き何度も確認したほどだ。
まだ仕事の途中で新しい取引に手をかけた状態だったから、中途半端に帰国することはできず今になってしまった。
男爵家の娘が侯爵家に嫁ぐというのは身分の差を考えれば難しい。
なのに、なぜこうもすんなりとうまくいったのか。
しかも婚約破棄という醜聞までついている。
「たしか学園のダンスパーティーで、突然テンネル家の嫡男がリリアを侍らせ婚約破棄宣言をしたと。それが発端だったとか?」
「ああ、そうだ。フローラ嬢を差し置いてリリアと結婚すると言ったそうだ」
「しかし、よくフローラ嬢も納得しましたね」
「フローラ嬢は快く婚約破棄に応じたそうだ。聞けば、フローラ嬢は勉強や研究に忙しく婚約者との交流もほとんどなく、冷たくあしらわれてエドガーはいつもないがしろにされていたそうだ。そんな時に同じクラスのリリアと親しくなり仲を深めるに至ったらしい。リリアの方が優しく温かくて相性もよいと。まあ、そんな説明だったな」
「誰から聞いたんですか?」
それはそうだろう。
テンネル侯爵家の嫡男がブルーバーグ侯爵家の令嬢と婚約を破棄して、うちのリリアと婚約したと手紙をもらった時は隣のクーリエ国にいた頃だった。
寝耳に水。
信じられなくて何度手紙を読み返したことか。父に手紙を書き何度も確認したほどだ。
まだ仕事の途中で新しい取引に手をかけた状態だったから、中途半端に帰国することはできず今になってしまった。
男爵家の娘が侯爵家に嫁ぐというのは身分の差を考えれば難しい。
なのに、なぜこうもすんなりとうまくいったのか。
しかも婚約破棄という醜聞までついている。
「たしか学園のダンスパーティーで、突然テンネル家の嫡男がリリアを侍らせ婚約破棄宣言をしたと。それが発端だったとか?」
「ああ、そうだ。フローラ嬢を差し置いてリリアと結婚すると言ったそうだ」
「しかし、よくフローラ嬢も納得しましたね」
「フローラ嬢は快く婚約破棄に応じたそうだ。聞けば、フローラ嬢は勉強や研究に忙しく婚約者との交流もほとんどなく、冷たくあしらわれてエドガーはいつもないがしろにされていたそうだ。そんな時に同じクラスのリリアと親しくなり仲を深めるに至ったらしい。リリアの方が優しく温かくて相性もよいと。まあ、そんな説明だったな」
「誰から聞いたんですか?」



