「まずはレイニーね。お茶会の次の日にレイニーからフローラちゃんの気持ちを聞かせてもらったわ。このことはヘンリーも承知していることよ。結婚したいそうよ、王子妃に望んでいると。その返事として『まずはフローラちゃんの心を射止めなさい。婚約はそのあとよ』といっておいたわ。ディアナ、それでよかったかしら?」

「はい。十分です。ありがとうございます」

 わたしは心の中でガッツポーズをしたわ。
 レイニーに気持ちがあれば九割は成功したようなものよ。アンジェラの顔が緩んでニコニコしてるわ。嬉しそう。

「射止めなさいなんてロマンがあるわあ。でも王族も貴族も政略結婚が常ですが、ブルーバーグ侯爵家の意向はどうなのですか? わたくしたちの思惑とは裏腹に別の婚約が成立したら笑うに笑えませんわ」

 ≪フローラとレイニーの恋を見守る会≫と勝手に命名して応援してても、結婚は家と家との結びつきでもあるから、思い通りにいかないこともあり得る。

 フローラに今のところ結婚願望がないのは知っているし、シャロン様たちが結婚を無理強いしないことも知ってはいるけれど。

「最悪な事態にならないように先日ブルーバーグ侯爵夫妻を王宮に呼んだの」

 ローズ様、すでに根回し済みなのね。さすがだわ。