玄関に着くと業者が忙しなく働いている。大小さまざまな箱が次から次へと重ねられていき、最後には家具がホールを占領していた。

 眼前に所狭しと並べられた品物を見て自分でもびっくりした。こんなに買い物してたんだ。気に入ったものはすべて買ってくれたから。ほんとエドガーって気前がよいのよね。なんでも買ってくれるから、友達に話したら羨ましがってたもん。

「家具は二階のあたしの部屋へ運んでね。置き場所はマギーに聞いて。マギーお願いね」

「はい。畏まりました」

 マギーはあたしの専属メイド。
 事前に説明しておいたから大丈夫でしょ。

 ここに置かれているのは年季の入った物ばかりで、傷が入っていたり欠けていたりと傷みがひどかったんだよね。
 うるうるとした目で訴えたらエドガーが新調しようと言ってくれて、ついでに古い家具は引き取ってもらうことになった。

 持つべきものはお金持ちの婚約者よね。

 うちではサイン一つさせてもらえず満足に買い物もできないけど、エドガーは違った。

 店にはいるなり、彼の姿を見つけた店員が駆け寄ってくると高級な部屋に通されてお茶やお菓子で接待されたわ。 
 どこに行っても顔パスでVIP待遇だった。最高級の一流店に入って堂々としているエドガーがいつもの十倍増しでかっこよく見えた。