「恐怖だとか弱みだとか、そんなものは一切ないわ。変なふうに誤解しないでね。聞いていればさっきからレイ様への印象が悪い方へ悪い方へとエスカレートしてるみたいだけど、どうしてなの?」

 場合によっては、私だって怒りますよ。レイ様はちっとも悪くないわ。

「どうしてって、フローラがレイニーから離れよう離れようとしてるみたいだから、レイニーが嫌いなのかしら? それともレイニーが嫌われるようなことをしたのかしらって思って、心配して言ったのよ。不快なことをされたのなら即話してちょうだい。国王陛下に報告して王子の不始末を謝罪させてもらうし、レイニーにはフローラに近づかないように厳重に注意するわ。で、どうなの?」

「ディアナ……」

 私は一瞬言葉を失いその代わり大きく息を吐きました。

 発想が飛躍しすぎてどう反応すればいいのかわかりません。

 答えを待ちながら興味深げに、私の顔をじぃぃーと覗き込まないでください。