レイ様から逃げる口実を作る?
 そうかもしれません。
 ガーデンパーティーで出会ってからローズ様をはじめ王族の方との関わりが増えて、環境の変化について行けてないからかもしれません。
 レイ様も同じです。元々雲の上のお方だったのに、親しくお言葉を交わすことなど考えられませんでしたから。

 できれば遠ざかる方が楽なのにと考えてしまう自分がいるのです。
 一人では断ることができないからディアナに頼って……
 なんて卑怯な考え方なのでしょう。

「ディアナ、私はどうしたらいいのかしら?」

「流れに乗ってみるのもいいのではないの? そんなに悩む必要はないと思うわよ」

「流れに……」

 ディアナはサラッというけれどそんな簡単な思考でいいのかしら? 相手は王子殿下ですよね。

「それとも、なに? レイニーを見たら身の毛もよだつほどの恐怖を感じるとか、弱みでも握られて脅されているとか? もしかして……そうなの?」

「ディアナ‼」

 彼女の突拍子のないセリフに驚いて大きな声で叫びました。
 想像力がたくましすぎます。どう考えたらそんな思考回路になるのでしょう。レイ様に悪印象なんてないのにレイ様がかわいそうすぎます。

「なあに」

 もう、ディアナったら。 
 ひどいことを言った当の本人はのほほんとした返事を返してきます。