「あ、あの……」
ローラが腕の中であたふた慌てている。
「ここから先は浅瀬になっていて湿地が続くんだ。靴が濡れるといけないからね。しっかり捕まってて」
縦に抱いたローラを腕に座らせる格好で彼女を支えると俺の首に恐々しくも腕を回してくれた。彼女からほんのりと甘い匂いがする。
「レイ様、下ろしてください。大丈夫ですから」
さっきまでのご機嫌斜めは吹き飛んでしまったようで、今度は抱っこされたことの方が気になるようだ。
「うん。だからここは湿地。雨が降った後は水が溢れるんだ。一昨日雨だったからね」
湿地を好む植物を植えたくてここ一帯は水が溜まる構造になっている。晴れていればそこそこ乾いていて通るのには支障はないのだが、一昨日の雨であちらこちらに水たまりができている。
「今日は靴履いてますから。歩けます」
「そうだね。でも濡れたらどうするの? 濡れた靴を履いたまま帰るのは気持ち悪いと思うよ」
「それは……」
俺の言葉に黙り込んでしまったことを幸いに、そのまま林の中を通っていった。
「あのー、湿地は通り抜けたと思うんですけど」
気付いたか。
とっくに薄暗い林を抜けて太陽が眩しく照らしている景色に変わっている。
ローラが腕の中であたふた慌てている。
「ここから先は浅瀬になっていて湿地が続くんだ。靴が濡れるといけないからね。しっかり捕まってて」
縦に抱いたローラを腕に座らせる格好で彼女を支えると俺の首に恐々しくも腕を回してくれた。彼女からほんのりと甘い匂いがする。
「レイ様、下ろしてください。大丈夫ですから」
さっきまでのご機嫌斜めは吹き飛んでしまったようで、今度は抱っこされたことの方が気になるようだ。
「うん。だからここは湿地。雨が降った後は水が溢れるんだ。一昨日雨だったからね」
湿地を好む植物を植えたくてここ一帯は水が溜まる構造になっている。晴れていればそこそこ乾いていて通るのには支障はないのだが、一昨日の雨であちらこちらに水たまりができている。
「今日は靴履いてますから。歩けます」
「そうだね。でも濡れたらどうするの? 濡れた靴を履いたまま帰るのは気持ち悪いと思うよ」
「それは……」
俺の言葉に黙り込んでしまったことを幸いに、そのまま林の中を通っていった。
「あのー、湿地は通り抜けたと思うんですけど」
気付いたか。
とっくに薄暗い林を抜けて太陽が眩しく照らしている景色に変わっている。



