婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

勇敢な姫君を助けて捕まえてしまった時から、君は僕のもの。婚約破棄したのはディアナから聞いている。グッドタイミング。これも神様の采配としか思えない。俺はこのチャンスを逃すつもりはない。
 
「わかった、わかった。ごめんね。今度は俺が助けるからね。それならばいいかな?」

「もう、知りません」

 機嫌を損ねて俺に背を向けてしまったローラ。からかったつもりはないけれど、俺の言葉がお気に召さなかったらしい。

「そうだ、お詫びに今夜夕食を一緒に食べよう?」

「……」
 
 ギギギッと音が聞こえそうなくらいぎこちない動きで、振り返ったローラは拗ねたような瞳で俺を見据えた。
 まだ、ご機嫌斜めのよう。

「申し訳ありません。今日はディアナの馬車に乗ってきたのです。ですから一緒に帰らないといけませんから、無理だと思います」

 すうと無表情な顔になり冷淡な態度で深く頭を下げたローラ。

 本格的に機嫌を損ねてしまったかな? 
 仕方ないなあ。
 俺はローラを抱き上げた。

「きゃあ」

 急に抱えあげられてびっくりしただろうローラの声が林の中でこだました。