アンジェラ様の手を離れてコトコトと歩いてきたかと思ったら、私の横にちょこんと座りました。
 あまりの素早さにアンジェラ様も苦笑いを浮かべていらっしゃいます。

「ほんとに相変わらずフローラちゃんが好きなのね」

「うん。ローラおねえちゃん、大好き」

「ニャーン。ニャーン」

 リッキー様の膝の上でマロンも賛成なのか私を見上げます。

「リッキー様もマロンも大好きですわ」

 慕われるのは、こそばゆくもとても嬉しいもの。
 マロンのあごを撫でてあげるとゴロゴロと喉を鳴らして気持ちよさそうにしています。

 それぞれの席に落ち着くと香りのよい紅茶やおいしそうなお菓子類がテーブルに並び、準備が終わるとお茶会が始まりました。

 たわいもない話から外国や経済に関する話題も飛び出します。はじめは黙って聞いていたレイ様もやがて話に加わってにぎやかで和やかな雰囲気になりました。

 コテン。

 突然、膝の上に重みを感じて、何事かと見てみるとリッキー様が頭を預けていました。たった今までお菓子を食べていたと思っていたのですが、急に睡魔が襲ったのでしょう。
 すやすやと寝息を立てて眠っています。