なんの前触れもなくその声は突然、響き渡りました。

「フローラ・ブルーバーグ。よく聞け。俺はこの学園で真実の愛を知った。今日この日、この時をもってお前とは婚約を破棄する。そしてリリア・チェント男爵令嬢と新たに婚約を結ぶのものとする。わかったか」

 なぜか得意げにビシッと私に指を突き付けて宣言するエドガー様。
 よいのかしら?

 私はフローラ・ブルーバーグ侯爵令嬢。王立学園の三年生。
 そして、リリア様を腰に抱き恥も外聞もなくまくし立てている殿方は、困ったことに私の婚約者エドガー・テンネル侯爵子息。同じく三年生。一応、嫡男なんですけれど。
 大丈夫なのかしら?