命の途切れる音がした。

人の幸せを奪う音。

でも時には人を幸せへと導く音。

どう捉えるかは人によるだろう。

ただ、今の俺たちにはそのどちらでもなく、無力感へと突き落とす音だった。

「深鈴っ、深鈴!ねえ、起きてよ!深鈴ッ‼︎」

泣いている春井。

ただただ、娘の亡骸を静かに泣きながら見つめるおばさん。

もう戻って来ることのない、最愛の人の手を握り続ける俺。