太陽に魅せられて

「え?」


何度もあの独特なイントネーションで聞いたこのフレーズ

絶対に彼の声なはずなのに

周りを見渡してもいつも通りの同級生しかいない









まさか
















会いたすぎて

とうとう幻聴でも聞こえるようになった?




なんて

この有り得ない状況を無理に納得させようと

こじつけの理由を探す




「ミホ、どうしたの、キョロキョロして」

スマホを持って動画を見ていたリコちゃんも

流石に私の様子がおかしかったのか

私の方に目を向ける



「今、関西弁でこんにちは〜って聞こえなかった?」

「あぁそれ私のかも。ごめん、うるさかった?」




「イヤホンするねーごめんー」

そう言いながらリコちゃんは

スマホを手放しカバンの中を漁り始めた



乱雑に机の端に置かれたスマホは

少しでも机に衝撃が加われば落ちてしまいそうだった


「ねー、リコちゃん、こんなとこに置いたら落ちるよ」



私は落下から守るため

中央に寄せようとスマホに手を伸ばした時
















衝撃だった























画面にはキラキラした衣装を見に纏いながら

激しくダンスを踊る

翔平さんが写って居たのだから

























「ふ〜あったあった
カバンの中ぐちゃぐちゃだからさ〜
探すの時間かかっちゃった」

イヤホンを探すため

下を向いていたリコちゃんが

机の上に置かれたスマホに再び視線を戻した時

私はまだスマホに手を伸ばしたままの状態で

固まってしまっていた













“”ガシャン””









リコちゃんがイヤホンを見つけ終え

鞄を床に置いた時

鞄が机にぶつかった衝撃で

スマホが床に落ちた



















私は受け止め切れなかった


















スマホも






翔平さんがアイドルであると言う事実も