太陽に魅せられて

英語の授業中

教科書をただ読んでいるだけの

先生の話に飽きてしまって

暇つぶしに手帳を開ける



「もう3週間も経ったのか…」

翔平さんが最後にお店に来てくれたのが3週間前

もう二度と会えないのではないかと思ってしまう

手帳に挟んだ可愛い鳥ビールの絵が

虚しく笑っている










「…ホ、ミホ!」

「えっ?」

1番前の席のはずのリコちゃんが

1番後ろの私の席の横に立っていた


「ごはん早く食べようよ〜」



いつもだったら空腹に気が集中してしまう4時間目なのに

翔平さんの事ばかり考えているうちに

授業が終わってしまっていた



「あ、うん、ごめん、ちょっとぼーっとしてた」

「ミホってよくボーッとしてるよね」

「え?ほんとに?」

「うん、前からずっと思ってた
ここ3ヶ月くらいは無かったけど」

「全然自覚なかった…ごめん…」



「私は全然気にしてないよ〜」と言いながら

小柴君が食堂にご飯を食べに行ったことによって

空席になった私の隣の席に座り

オシャレなお弁当箱の蓋を開けて

両手を合わせるリコちゃん



「あれ、リコちゃん今日お弁当作ってきたの?珍しいね」


リコちゃんはいつも

学校に来る前にコンビニに寄って

美味しそうなお弁当を買ってお昼に食べているのに

今日は入れ物からして明らかに

手作りのお弁当だったから気になった


「そう、推しのデビューコンサートの為に節約してるの」

「へー、コンサート当たったの?良かったね」

「いや、まだ。なんなら開催決定もしてない」

「え?(笑)まだやるかどうかも分からないコンサートの為に今から節約してるの?(笑)」

「来週ね、推しのグループがデビューするの。だから絶対そのうちコンサート開催発表来ると思って」

「えーっと、グループ名なんだったっけ
ポンデライオン?」

「違う。ダンデライオン。それはミスド。」

「あれ、そうだっけ。ごめんごめん(笑)」

「もー、私こんなにミホにダンデライオンの話してるのに全然覚えてくれないじゃーん」

「ごめんってー(笑)でも、リコちゃんの好きな人はちゃんと覚えてるよ!
涼くんでしょ?顔もわかるよ!
他のメンバーは申し訳ないけど全然わかんない…あと誰さんと誰さんが居るんだっけ?」

「いや、2人組だわ
涼くんと翔くんはお互いが信頼して支え合ってる所がいいんだよね〜」


「まあ、アイドル興味無いミホにはわかんないと思うけど〜」と言いながらスマホを開き

口に卵焼きを入れながら動画を見だした



その姿を見た私も

自分のお弁当入っていた

残り1つの卵焼きを口に入れようとした時










「こんばんは〜」







翔平さんの声が聞こえた