立ち止まって空を見上げると

大きくて綺麗な満月が登っていた

ふと、あの時のことを思い出す

思い出しただけで、顔が熱くなって

お腹の奥のあたりがきゅんとする

もう何年も前なのにどうしてだろう


再び歩き始めた

すると、電柱の横に
人が立っているのを見つけた

なんだか怖いし、気持ち悪いから、早足で通り過ぎようとした

近づいていくにつれて、見覚えのある光景が目の前にあった

よくよく見ると、電柱に寄りかかっている男の人を知っている気がした

きっと彼だ。

私のファーストキスを奪った彼だと確信した

素通りしようか迷ったけど、放っておくわけにはいけなかったし、何かあったら嫌だから一応声をかけてみた


「あの、大丈夫…ですか?」

ドキッ

彼と目があった

やっぱりそうだった