「アメ、オマエも外出たいか?
ほら…」



そう言ってアナタは

ボクがいつもいる部屋の戸を開けました



「いつもこんな狭い世界にいたらさ
オマエも退屈だろ」



ボクはいつも窓から外を見てます

ボクのお気に入りの場所です



晴れていると

とても気持ちが良くて



雨の日は

あの日を思い出して

少し嫌な気持ちになります



早くアナタが帰ってこないか

1日外を見て

通る傘の中がアナタじゃないか

目で追っています



ここから出てしまったら

もぉここへ帰って来れないんじゃないかと

それが心配です



この部屋は

あの公園より狭いけど



あのダンボールよりは

ずっとずっと広くて



ソファーの上から

本棚へ飛び乗ったり

ソファーの下に潜ったり

結構楽しんですよ



そして何より

ここにいたら

必ずアナタは帰って来てくれる



かわいがってくれる

優しくしてくれる

大切にしてくれる



そんなアナタが

ボクは

なかなか好きですよ



アナタの腕の中は

とても温かいです



ここよりいい場所は

ないと思ってます



別に外になんか

出たくありませんよ



「アメは臆病だな」



アナタは戸を閉めて

ボクを抱っこしてくれました



「アメ、友達っていいよ
楽しいよ
まぁ、ウザい時もあるけど…
アメにもオレ以外の友達できたらいいな…」



ボクはここに来てから

アナタしかいません



扉の向こうで

たまに誰かの声がしますけど

この部屋に来るのは

アナタだけですね



「外に出たらきっと
アメにも好きな男できるかもな…
フ…それも複雑だな…」



公園にいた時は

アナタの友達も来ましたよね



あの人は

元気ですか?



もぉ

ずっと見てませんね



ここには来ないんですね



「アレからずっと見かけねーけど
山咲、元気かな…

またかわいくなったかな…

アメは、いなくなるなよ
ずっとオレの隣にいろよ」



ーーー



アナタはボクのお腹に

顔をすりすりしてきました



ニャー…



くすぐったいです



「アメのことも好きだけど
オレ、まだ山咲が好きだわ

また会いてーな…
フ…会っても相手にされねーか…」



お腹が空きました

食事の支度をお願いします



そろそろカリカリの味

飽きてきました



たまに他のものに変えてもらえると

ありがたいです



今日も幸せですね



ニャー…



ボクは

アナタが

大好きです