勢いよく玄関から飛び出して

学校へ向かいます



梅雨入りしてすぐなのに、もう暑いなぁ…

とぼーっと考えながら歩いていると



「夢乃サン」


と、名前を呼ぶ声がしました


「…花咲くん、おはよ」



「おはよ 今日も雨だね」


「だねぇ…」



朝、登校時間が合えば
いつも隣に来て世間話をしてくれる星咲くん。




教室に入っても隣なのに、飽きないなぁ…




私はまだ慣れない



彼におはよう、と言われるだけで


顔に熱が籠るのが私です。




元々、相手のことを“好き”や“恋愛対象”として見ていなくてもこうなるのです



「ねぇ星咲くん」


「どうしたの?」


優しく私の言葉に耳を傾ける星咲くん。



その姿に思わずまた熱が登った気がしました




「あのね、
私と話していても 嫌じゃないの?」


「どういうこと?」


不思議そうに、目を細めて再度聞く星咲くん



「わたし、前にも言ったけど
男の子と話しているとすぐに赤くなるから…星咲くんも周りから勘違いされちゃうよ…」



その…私が星咲くんを好きなんじゃないかって。




そう言うと、星咲くんは少し目を見開いて、


「何言ってるの、それも含めての夢乃サンだし。それに…見てる俺も飽きないよ」


といい、顔をのぞかせて言いました。



「な、なにそれ!
見世物じゃないです…!」



「ははっ、ごめんね」



「でも…
含めて私だっていうのは、嬉しかったです」




少し照れくさいけれど

言ってくれたことは本当に嬉しかった


今までそんなこと言ってくれる男の子はいなかったから。



────夢乃って、お前のこと好きなんじゃねーのー?(笑)


────えー、俺彼女いるんだけどー(笑)




好きでもないのに、この赤面のせいで
よく男の子にからかわれたなぁ。


だから、すぐ赤面してしまうちょろい所も
私は嫌いでした




『夢乃サンはかわいいよ、』



そう言う花咲くんの声は



紬に届いていなかったようです。