「今日はね、優太の好きなハンバーグだよ」


「やったぁ!俺、美奈のハンバーグが大好き」


「うん。用意するから準備してきて」



ようやく優太は私から離れて機嫌よく自分の部屋に戻って行った。


……ほんと、いつもクールなくせに家に帰ってくると甘えんぼうなんだから。


でも、そんな優太が好きなんだ。



「私……幸せすぎてとろけそう」



ニヤニヤとだらしなく緩む頬を抑えながら夕飯の準備に取り掛かった。



***


私は山崎美奈(やまざきみな)。高校2年生。一緒に暮らしているのは黒島優太(くろしまゆうた)。同じ学校の先輩で……私の婚約者でもある人です。


どうして私に婚約者がいるのかというと、それはほんとに偶然の出来事だった。


私の家は有名な山崎財閥で、父親が大手企業の社長をしている。まぁ、私はいわゆるお嬢様ってやつかな。


だけど甘やかされて育ったわけじゃなくてどちらかというと厳しく育てられた方だと思う。