(完)28歳の恋愛事情

礼央君はそのままズズズとしゃがみ込んでしまった。





わたしはそんな姿を見下ろすだけ。





「多分俺って、茉希先輩が全てだったのかも。営業の成績保てたのも、みんな平等に接していれたのも…俺の中に茉希先輩がいたからできたこと」




「……礼央君…」




「なんて、言われてもって感じですよね。わかってます。俺の実力不足ってことは」






そう言って力なく立ち上がった礼央君はふんわり笑顔を作る。






「じゃお先に帰ります」





と歩き出す礼央君を呼び止めた。




「礼央君、これ…」