(完)28歳の恋愛事情

そう言ったわたしの声は、かなり落ち着いていたと思う。





「じゃそういう顔しないでください……結構凹むので」





て、今のわたしどういう顔してるの?



鏡を取り出して見てみたいものだ。





「…礼央君、」





一歩先を歩く礼央君の袖を掴み、立ち止まらせた。






「…わたし…礼央君の気持ちには応えられない。わたしが礼央君を好きになることはないと思う……礼央君にはもっと相応しい子が絶対いる」





そう言い切ると、ゆっくり袖を離した。






「………わかりました…」




地面を見つめたままの礼央君はわかってくれたらしい。