(完)28歳の恋愛事情

恐る恐るそう尋ねると、薄く笑った礼央君。





「…さぁ?去年の暮れから行方不明なので。どうせ男のところだと思います」




「………」




「…会うつもりなくてこっちに出てきたんで、全然いいんですけどね」






それ以上はなにも聞けなかった。




というより、これ以上聞いてしまえば、きっとわたしの顔には"同情"の文字が浮かんでしまうと思った。




そんなこと、礼央君は望んでいないようだし…





この話しには蓋をしないと、と思った。




それから礼央君のアパートを出ると、手を繋いで歩く夜道……





こんな時間さえも愛おしい…んだけど、心なしか口数が少ない気がする。