あたしは、何て言えばいい?
言ってくれてありがとうとか?

ちっとも有り難くないよ、先輩。

「そうですか…でも、そんなに好きなら諦めちゃダメですよ!奪うくらいで行かないと。」

その言葉は、あたし自身に言う慰めのようだ。

「そっか…まぁメールしてみる。ありがとな。」

先輩の背中はやっぱり広くてカッコいい。
いっそ、後ろから抱き付けたら。

あたしはそんな、恵まれてはいなかった。


それから、先輩は受験で忙しい。

忘れなきゃ死んでしまうくらい哀しくて、でも出来なくて、あたしは違う人を好きになる努力をした。

それが雄志だ。

バレンタイン、先輩にも渡そう。

先輩は迷惑かな?

義理チョコだって言おう。
本気はもう、辛いだけ。

あたし先輩の好きな人を頭の中で何度も殴ったり蹴ったり、死んだらいいのにとか思った。

そんなことしても自分が汚くなるだけ。
分かっている。

けれどその子さえいなかったら、とかその子になれたらなんて、誰もが思うことだろう。
叶うはずがなくても、現実にならなくても。

すべては、愛する人の心を得たいために…

愛されるためならば、自分が消えても構わない
あの子になりたい
あの子になりたい