辛くて辛くて、それから1回だけ泣いたけど、泣くのはそれきりにした。
泣けば泣くほど、いっそう終わった恋になってしまいそうで、嫌だから。
それからあたしは先輩にメールを打つのを控えた。
冬休みが終わって、先輩と廊下で出くわした。
あたしは笑顔で挨拶した後、何もなかったように去ろうとしたのに、先輩はあたしを引き止める。
「ちょっと話さない?」
何だろう…心の底が煮え立つような、このざわめき。
期待してはいけないことをふと思いそうになって、ぎゅっと目をつむった。
ないない、有り得ない。
でも…
けど、やっぱりどんでん返しなんて滅多にある訳無かった。
「俺さ、さっちゃんが気持ち伝えてくれたから、正直に言わないとダメなんじゃないかって思ったんだ。」
「どうしたんですか?」
「俺、中学からずっと憧れてるコがいてるんだ。」
「今も学校行く途中ですれ違ったりするんだけど、隣りの高校なんだ。」
「メールとかしてたんだけど、俺が受験やらなんかでメールしてなかった時期に向こうに彼氏が出来たんだ。」「けど、諦めきれなくて、今も好きなんだ。」
「さっちゃんに隠すのもなんだから…伝えようと思って…」
