あたしは傲慢なのだ。自分のためなら、人が傷付くのも仕方がないと、どこかで思っている。
そうつくづく感じた瞬間だった。
それを認めざるを得ない。
意外とあっさり司くんは承諾する。
最後に言われた言葉は、あたしを申し訳ないと思わせる一言だった。
「最初から俺のこと、好きじゃないのに付き合ってたのは、分かってたよ。」
司くんはこの一か月の間、彼なりに苦しんでいたに違いない。
そのことを全く考えていない訳じゃなかった。
けど、最近なんて特に司くんと付き合ってる事を先輩に知られたくないという気持ちが強かった気がする。
どちらにしてもあたしの行為はクソみたいだ。
良くも悪くも、これで先輩に全力投球出来る環境が整った。
それからのあたしの努力は半端ない。
毎日毎日部活で学校に来る度、先輩が文化祭の準備で来てないかとか、会えたら会えたで絶対に挨拶だけはしようとか。
メールは先輩が受験生なのをしっかり把握してこまめに、ちょっとだけにする。
間違っても、自分の行為をウザいと思われてはダメだ。
あたしはいつに無く頭を働かせた。
それもこれも、先輩を手に入れたい一心で。
けれど些細なことで、先輩はすぐあたしの横から雲の上に帰る。
