そのうち手帳に先輩と会えた日に丸つけたり、先輩にまつわる日記をつけたり。

それと同時に司くんへの感情も日に日に薄れていく。

完璧に心の浮気だ。
けれどあたしの心は加速する。一度転がったビー玉がその速さを増していくような。

とも先輩を通して、あたしは植本先輩とメールする仲にまでなる。

会う度に友達みたいなフランクに話し掛けてくれる先輩に益々夢中になって、あたしは没頭していく。

そんな感じで1ヶ月が過ぎる。

司くんがあたしに話があると言い出した。

「この頃さ、佐知素っ気無くない?」
「そうかなぁ?」
「この頃全然メールとかくれないし、寂しいんだ。」

いつか言われるだろうなと思っていた一言だった。

普段のあたしなら、反省心とか出したり、もっと司くんの事ちゃんと考えなきゃって思う。
けど、あたしはもうそんな次元じゃない。

ただ、もう司くんを煩わしく思うだけだった。
そこにはもう、好意や愛情など無い。

何と悲しい結末か。

人の心なんて、明日になればどこかへ行ってしまうものなのかもしれない。

遂にあたしの口から出た言葉はこれだった。

「司くん、あたし達別れようか。」