それから数ヶ月が過ぎ、良子ちゃんが看護学校を卒業して、病院に戻ってきた頃、石川先生から相談室に呼ばれた。






部屋に行くとお父さんも孝治さんも、そして進藤先生もいる。






仕事の話ではなくて、私の体のことだということは、すぐに分かった。








『まぁ座って。』








と石川先生に座ってソファに座ると、





4人の先生方が並んで目の前にいる。






一斉に見つめられるのは辛いけど、しょうがない。







『そろそろ、心筋生検を行おうかと思ってる。』








「はぁ、そうですか。」






前にも聞いていたけど、しょうがないという気持ちしかない。







『重篤な患者を受け持ってないようだし、やるなら今だと思う。






アメリカからもジャクソン先生が来るから、日程が決まるのはもう少し後になるけど、その間は入院になるから、心しておけよ。』









「はい…。」







仕事も色々と引き継がなきゃと頭は大忙し。








『まぁ気持ちは楽にしていたらいいから。』







そう付け足すのはお父さん。







「はい…」







今の受け持ちの子たちが気になるけど。







『検査までも喘息が出ないように、しっかり吸入続けていこうね。』








と進藤先生。








「はい…」







誰に引き継ぐのかな…






『メニエールにならないように、薬はちゃんと飲むんだぞ。』







う〜ん、あの子はアレに注意して…








考えれば考えるほど解決しない。






『おいっ!』






ハッとして前を見ると、みんなが私の顔を見つめている。






あ、そうだった。







『何考えてんだよ。』







孝治さんから聞かれて、






「えっと…受け持っている子たちを誰に引き継いでいくのかなぁ。とか…色々。」







『それはまだ考えなくていいから。
日程が決まってから、医局長から連絡あると思う。
それまではいつも通り、そして体調が悪くなることがないように、体に気をつけていればいいから。』







と石川先生からのお言葉。






「はい。」






ジャクソン先生まで来て、大事のようになってるけど、心筋生検はそんな特別なことでないのに。





なんか期待されているようで…






結果が最悪だったらどうしようか…







なんて考えながら医局へ戻った。