そして今日はお休みを取って…健診。






『はいはい、早くやって早く帰れるように頑張るぞ。』







と嫌そうな顔しているであろう私に、早く椅子に座れと促す。







「はい…」








いつものように慣れた手つきで聴診を私の胸に当てて、ゆっくり聴診する石川先生。







『大きく吸ってみて…大きく吐いてー。』







咳き込むことなく落ち着いて呼吸をした。








『次は背中。』







心臓だけじゃなくて一緒に肺まで診てくれるのは、常に私のそばで仕事してくれてるからだなとありがたく思う。







リンパ、喉…と確認して、その場で採血した後に心電図やエコーを黙々とこなす石川先生。






もし私が…子供なら。







もっと明るく接してくれるのかな?








と思うほど、真剣な眼差し。








逆にドキドキしてしまう。









『なんだよ、そんなにジロジロ見て。』









「いや…その。







私が子供ならもっと楽しくやってくれるのかなって。」








『………悪かったな。つまらない健診で。』








「いやっそうじゃなくてっ!」







と慌てて訂正してみる。








『はい、かなちゃん。お胸の様子を知りたいから、大人しくしておこうねー。』







完全に子供扱いされる。それもそれで恥ずかしい。







「は、恥ずかしい。もういいですから…。」









『お前はすぐに不安定な気持ちがここに出るからな。』








と胸を指差す。







そう?そうだったかな。







『前に、不安になり過ぎて何度もエコーや心電図のやり直しがあっただろ?






嬉しい時の顔は出にくいけど、嫌そうな顔もすごいぞ。






それがここにも伝わるから、健診の時は不安にさせないようにしてるつもりだったが…







これからは、楽しくやりまちゅねー。』







「もーホントにやめてください!






私が悪かったです。」







笑いながら言うと、








『はいはい、じゃあ静かにしててくれるかな。』







と真顔に戻ったので、







若干ニヤけながら、大人しくしていた。









『よし、こっちは終わりだ。







いつになるか分からないけど、心筋カテーテル検査もするからな。』







そうか…細胞を入れてから、心臓の状態は外からしか見ていなかった。






そろそろなのかな。






『ジャクソン先生が是非日本に来て、佐藤の心臓の様子を知りたいというので、もしかしたら、ジャクソン先生にやってもらうかもしれないけどな。』








そうだった、石川先生はもともとあちらにいた方だったんだ。








「ジャクソン先生ですか。」







孝治さんがイライラしないといいけど。







『じゃあ次は、進藤先生のところへどうぞ。』







ゆっくり体を起こしながら、お礼を言う。そんな時にも背中を支えてくれる石川先生の優しさは、本当に患者さんを考えた優しい医者なんだと、顔からは感じないけど、思った。