孝治さんとの寝室ではなくて、自分の部屋に来た。
さすがにあの雰囲気で寝室で寝るなんて、無理。
ベッドに入って布団に包まる。
光も音も…それから臭いも。
何もかもシャットダウンしないと、頭痛は続く。
「ゔぅ〜ん…」
痛い…
部屋に来て、だいぶ経つけど、まだ痛い。
頭を両腕で覆ってみるけど、何も変わらない。
割れてしまうんじゃないかな…
そんなことを考えていると、
ガバっ!
布団がめくられ、明るい部屋に出た…。
『何やってんだ?』
久しぶりに聞いた、この上なく低くヤバい時の孝治さんの声。
『なんでこっちで寝てんだ?』
そう言って顔を覗き込まれる。
光が目に入らないように、両手で目を覆うけど、
力ずくで両手は離され…
眩しっ!
目の奥底から強い痛みが舞い落ちる。
「ゔゔ…。」
言葉を返せば痛みが増すのは、充分わかってるので、今は少しでも痛みを和らげようとする。
『大丈夫か?』
目を瞑っているけど、至近距離で孝治さんが私の顔を見ていることは感じ取れる。
軽く頭を左右に振るけど、少しの動きで頭は痛む。
『痛み止めは?』
もう一度、頭を振る。
孝治さんは私から離れて、薬の袋から頭痛薬を探している。
ないんだけど…伝えられない…。
『ないのか?』
という声に頷いて答える。
部屋をすぐに出て行く孝治さん。
少しして戻ってくると、
『これでいいから、飲め。』
起こされながら、目を少し開けると、目の前に出された薬と水。
震える手で薬を受け取ろうとすると、孝治さんの手が薬をスッと手にして、私の口に運び、すぐさま水を飲ませてくれる。
『すぐには良くならないだろうけど、飲まないよりいいだろう。』
再び私をベッドに寝かせて布団を掛けた。
『今日はここで静かに寝るんだな。何かあれば携帯で電話して。』
そういうと私の枕元に携帯を置き、部屋から出ていった。
ひたすら目を瞑って、痛みが和らぐように布団に潜った。



