リビングのドアを開けると、お父さんと孝治さんは食事を終えてソファに座っていた。
『あったかい?』
お父さんに声をかけられギクリと体が固まる。
そんな私の態度は、すぐに見破られる…
『何かあった?』
テーブルで食事をしているお母さん。
「あ、あの…えっと…。」
モゴモゴと話していると孝治さんがやってくる。
持っている薬を奪い取られ、
『これ、向こうでもらってきたやつか?』
そう言われ頭を下げて返事をする。
「今日の薬…
もしかしたらバスに忘れてきたかもしれません…。」
『『『えっ!?』』』
三人の声が重なる。
「まだわからないけど…バスを乗ってる時から家までなんだか、ボーっとしてしまって。
そこから…その気づいた家にいた感じで…」
言い訳をつらつら述べてみたけど、もう無理だと思って、
「ごめんなさい…」
と深々と頭を下げた。
『はぁ…』
大きなため息を孝治さんがつく。
『かなちゃん、この薬でいいから、飲みなさい。』
お父さんのいつもは聞かないような太い声に、ビクビクしながら頭を下げる。
孝治さんから受け取った薬の中から食前のものを出す。
明日、バス会社に電話して、取りに行こう…
バス会社は朝早くから連絡できるのだから、朝早くに起きて…
そんなことを考えながら、そして再び襲ってくる頭痛に耐えながら薬を飲み込む。
頭痛薬はこの中には、もうなくて。
バスに置いてきた薬の中にある。
うゔ…痛いけど、今はご飯食べなきゃ…
と残りの食事に手をつけた。
ご飯を食べ終わり、お風呂に入る。
頭痛はちっとも治まってなくて、これ以上入っているのは辛すぎて、気持ちも悪い。
早々にお風呂を上がり、何となくドライヤーで頭を乾かすけど、立ってるのがしんどすぎて、お風呂を出た。



