思わぬ失言に惚けていた頭が一気に醒める。
いや、まじで何言ってんだ俺！？
無し無し！ 今の無し！
忘れてくれ！！
「……っ！」
誤魔化そうとした俺の目に飛び込んできたもの。
それは、後ろから見てもわかるくらい、耳まで真っ赤にした水原の姿だった。
ドクン。
……ダメだろ、水原。
好きって言った男にそんな反応なんかしたら。
俺は単純だから、すぐに自分に都合の良いようにとっちまうぞ。
「好きだ」
少しだけ身をかがめて、水原の耳元に囁く。
今度は明確に伝える意思を持って。
「な、なにが好きなの？」
…………まじで？
え、まじ？
もしかして伝わってねぇ？
冗談？ 天然？
それともはぐらかされてる？
