「なーに泣いてんの」
「佑香」
なんで、今来んだよ……。
しかもにやにや笑ってるし、だいたい泣いてることをバラすな!
「べ、っつに泣いてねーし」
「はいはい。てか2人で座り込んで何してんの?」
無駄に張った意地はあっけなく流されてしまい、それどころか今の状況にまで首を突っ込んでくる佑香に、まじで何で今来たんだよと頭を抱えてしまう。
何してるかなんて俺が聞きてぇよ……。
好きな子を泣かせたのが情けなくて泣いてしまいました、なんて死んでも言えねぇ。
もうなにも聞かずに早く帰ってくれ……。
項垂れながらそう願っていると、ふいに隣で水原が立ち上がった。
「ごめんなさい、何でもないんです」
さっきまで頭をあげなかったのが嘘みたいにきっぱりと佑香の目を見て話す水原に、いつもの水原だ……と少しだけほっとする。
……一切俺を見ようとしないのも、まぁいつも通りっちゃあいつも通りだしな。
……別に傷ついてねーし。



