「なぁ、まじで大丈夫か? 具合悪い?」
そう聞けばふるふると首を横に振ったことに少しだけほっとする。
恐る恐る回した手で背中をさすれば、少しだけ全身を強張らせるのが分かったけど、あえてそれには気づかないふりをした。
なぁ、なんで泣いてるんだ?
やっぱ俺のせいか?
補習のときから、水原を怒らせちまったし。
今日一日水原と一緒にいたのは、俺だけだ。
俺はすげぇバカだから、何が水原をこんな風にさせたかなんて見当もつかない。
なぁ、悪かったから。
水原が嫌なことは全部謝るし、もう絶対しないから。
だから、こっちを向いてよ。
俺の方を向いてくれ、水原。
「ごめんな」
ぽとり……。
落ちた滴が、アスファルトの地面にシミを作る。
あー、俺泣いてんのか。
男のくせに情けねぇ。
水原には見られたくなくて隠すように袖口で涙を拭っていると、最悪なことにもっと見られたくない相手が来てしまった。



