「っぶねぇ……」
がっと後ろから水原に手を回して、なんとか転けるのは阻止することができた。
「大丈夫か?」
間に合ったことにほっとしながらも、さっきのふらつく水原の姿が頭から離れない。
何も反応しない水原にまじで不安になってきたとき、ぽつりとくぐもった声が聞こえてきた。
「は、」
は、?
「水原?」
「離して……」
ハナシテ……。
…………離して!?
言われてこの状況を整理してみれば、密着した水原の背中と俺の胸、水原のお腹に巻きつく俺の腕。
俺今、かなり水原とくっついてるじゃん。
「あ、わり」
スマートに腕を引っ込めたけど、内心ではそりゃもう心臓バクバクだ。
だって未だに腕に、身体に、水原の感覚が残ってるしなんかいい匂いしたし。
「……って水原!? 大丈夫か!?」
支えがなくなったからか、急に座り込んだ水原。
やっぱどこか具合でも悪いんじゃないか?
とりあえず俺も隣にしゃがんで様子を覗き込もうとするけど、顔は腕で隠されてしまっていて、表情を見ることは出来なかった。
でも、少しだけ聞こえたしゃくり上げるような息に。
水原が、泣いてるのだと。
そう気づくと、いてもたってもいられなかった。



