「今日、クリスマスってよ」


結局返事も聞かずその場を飛び出す。

絶対後から叱られるだろうけど、それよりも水原の方が大事だ。


どうかそこまで遠くに行ってませんように……!


外は雪が降っていてかなり寒い。

水原はいつも正門から帰るから、多分そっちに行けば捕まえられるはず。


走って走って、……わりと走ってるけど水原いねぇじゃん……!


まだ敷地内にはいると思ってたけど、もしかしてもう出たのか?


角を曲がって正門が見える位置までたどり着くと、そこに立ち止まっている水原の姿が見えた。


いた……!


「水原!」

こんだけ声を張り上げれば、さすがに聞こえるだろう。

でも水原はこっちを一切見ない。

聞こえてないのか?
てことはやっぱさっきも聞こえなかっただけ?


止まったままの水原にもう少しで追いつく、そんなところまで来た時。


「は!?」


躓いたのか、急によろけて体勢を崩した水原。


いや、いやいやいや。
まじ!?


慌ててさらにスピードを上げる。


そこそこ全力で走ってた気がしたけど、人間頑張れば限界を超えられるんだな。