そのメッセージらは私への“外見”への愛と
「付き合ってください」という9文字が綴られていた。


最初は「これが青春…?」などと勘違いを起こしかけたが、やっぱり違う。
この出来事に私はガッカリするべきだと思った。

私は顔も知らない話したこともない人に外見で好かれ外見“だけ”で付き合うに値すると判断されたのだ。


少しも…嬉しくない。
むしろ虚しい。

この虚しさにデジャヴュを感じた。

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中学の頃下校中に

「なんで利花は完璧なのに友達も彼氏もいないんだろね〜」
と樹里がつまらなさそうに聞いてきたことがある。


「完璧は言い過ぎだけど、友達本当にいない…。私も話しかける努力はしてるんだけど、どこか上辺というか距離置かれてるというか……。
私…なんか悪く見えてしまうんかな?目が怖いからとか」



「いやそうじゃなくて…。
むしろ“才女” とか “高嶺の花”って感じでみんな近寄り難いっぽいよ。」



「え、でも才女って色々優れてる人のことでしょ?みんなが知ってるのって学年順位くらいじゃ…」


「容姿は一目瞭然だし、運動神経いいのも音楽が出来るのも話題になってるの。」



「話題になってるの?確かに得意ではあるけれど…それだから避けられるのがよく分かんない。」


「たしかに。」


「成績とか“高嶺の花”とかいうレッテル以外に私の事知らないのに、勝手に判断されて私の友達を作るチャンスが知らず知らずのうちに減ってしまうのはなんだかショックだな……」



「1回素直に話せば利花がいい子ってことも、案外面白みのある子ってことも分かるのにね…。確かに利花は優秀だし羨ましいけど、この事を思うとその反面少し可哀想だなって思っちゃう。」



「高嶺の花のジレンマってやつだろ。外見だけのイメージに囚われておかわいそーに。」

そこに颯真の煽りが入った。
私は顔を赤くして、

「……っちょっと!颯真のせいでかなり凹んたし…!!」

と言い放ち
その後大袈裟に両手で顔をおおった。
すると

「ちょっと男子ー。いい加減にしてくれるー?!デリカシーが皆無なんですけどそれって人としてどうn…」

樹里は颯真を冗談交じりに詰って
颯真はバツが悪そうにして、

「悪いって〜。まっ、ぼちぼち出来るっしょ」

と慰め、
お詫びにお汁粉奢ってくれたんだっけ……


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私は明らかに自分のレッテルによって色々と拗らせている。
その拗らせは昔から変わらず、少しも脱却出来ていない。

どうにかしなきゃとFINEでお断りのメッセージを打つたび、危機感が募っていく。
でも具体的な行動も解決策も思い浮かばない。

私は携帯を手放し、ベッドに突っ伏した。