まず、文化祭の準備として、神社の外装を

作る必要がある。俺にはそういったセンスが

無いらしいから、ゆづちゃんに任せることに

した。



「陽太先輩は、絵馬を大量生産してください

ね」

「はい…」



いつの間にか、立場が逆転しているような気

がするのだが。まぁ良い、可愛いゆづちゃん

の頼みなら、何だってするさ。そして俺は、

歪《いびつ》なハート形をした絵馬をひたす

ら量産し続けたのだった。

 ゆずちゃんは段ボールを大量に集めてき

て、真っ赤に塗って鳥居やお社を作る。そし

て俺はこっそり賽銭箱を置いて、仕上げに、

裏庭から運んできたオト女神像を設置した。

我ながら、なかなか良い出来栄えだ。



「陽太先輩…、賽銭箱なんて置いて、お金を

集めるおつもりですか?お金を集めるのはダ

メだって、生徒会から言われたじゃないです

か。飾るだけにしてください」

「う…、バレた」

「先輩が考えていることくらい、分かります

よ」



ゆづちゃんは、なかなか勘が鋭い。気を付け

なければ。