8、消えた彼

「最後に月経が来たのはいつですか」

お医者様からその言葉を聞いた時は襲いかかる恐怖のせいか、うまく呼吸ができなかった。

最初は、においが変だったことからだ。

いつも嗅いでいたのになんか嫌な感じかする程度だったけど。

それも、今では妊娠していたっていう合図だったのかもしれない。

その後も、味覚が変わったり、ぼんやりするようになったり月経が来なくなったと気づいた時にはもう遅かった。

産むしかない、だって三ヶ月経ってしまったから。

夫婦のことでだったら、喜ばしいのかもしれない。

望まれてなかった子。

わたしはこの子を愛せるのだろうか。

いや、愛してやらなければならない。

わたしの、わたしたちの子なんだから。