「婚約破棄してください!」


何故か私は、十何年か関わりのある幼馴染に向かって普段なら絶対使うことのない敬語を使った。


「無理。」


「お願いします!」


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私と、私の幼馴染「泰野蒼真」の婚約は物心つく前から決まっていた。


と言っても、お互いの母親同士が決めた勝手な口約束だから無視しようと思えば無視できたはず。


だけど、真面目な蒼真は言うことをしっかり聞いて多分このまま結婚する気だ。


私は、蒼真に好きでもない相手と結婚させるほど鬼ではないのでこうやって私から婚約破棄を告げた。


それに、泰野家と紺野家じゃ身分が違いすぎる。


泰野家は両親ともに医者をやっているけど、家は2人とも学校の先生をやっている。


・.*.・